こんにちは、おつまみ(@otsumami082)です。
2021年4月現在、私がUberEats配達員(フードデリバリー)を初めてからそろそろ2年が経過します。
私の配達員としての経歴
- 配達員歴:2年以上(2021年12月現在)
- 配達件数:7000件以上
- 配達エリア:東京(新宿区メイン)
- 配達手段:自転車(4万円のクロスバイク)
- 一日あたりの稼働時間:平均すると大体3~5時間くらい(時期により1〜3時間)
- 月の稼ぎ:15万~25万円くらい(時期により10万以下)
- 配達員としての基本スタイル:フリーの日は昼のピークタイム1~3時間、夕方のピークタイム1~3時間。他の業務や学業との兼ね合いにより増減あり。(稼働しない日もアリ)
UberEats配達員というと、皆さんはどのような印象を抱いているでしょうか?
最近では、新しい働き方・ライフスタイルとして定着している感がありますが、やはり世間のイメージはまだまだ悪いように思えます。
ちなみに、私は過去に知人から
と言われたことがあります。(´・ω・)
そして、そんな世間の風潮の中、たまたま配達先で居合わせた◯前館の配達員の方からは
と鼓舞していただいたこともあります。(*^^*)
で、今回はそんな現役配達員の私が、「なぜUberEats配達員(フードデリバリー)は世間から嫌われるのか?」を考えていこうかと思います。
もくじ
- 1 「なぜ配達員は嫌われるのか?」8つの要素と結論
- 2 原因①:実際に迷惑行為をする配達員が一定数いるという事実
- 3 原因②:UberEats社の無責任さ
- 4 原因③:人間には新しく異質なものを排除する本能がある
- 5 原因④:人間の脳は『悪』を排除することに快楽を感じる
- 6 原因⑤:一度嫌われるとイメージの挽回は困難!?『確証バイアス』とは
- 7 原因⑥:本能を刺激するコンテンツを作って儲ける営利企業態『メディア』の存在
- 8 原因⑦:メディアで配達員のマナー違反報道を目にした人達が配達員を『悪』認定する
- 9 原因⑧:存在感のあるUberEatsバッグが人間の差別感情を刺激し排他的行為を促す
- 10 まとめ
- 11 参考サイト一覧
「なぜ配達員は嫌われるのか?」8つの要素と結論
「なぜUberEats配達員(フードデリバリー業者)は嫌われるのか?」その理由を大まかに8つの要素に分けてみました。
- 実際に迷惑行為をする配達員が一定数いるという事実
- UberEats社の無責任さ
- 人間には新しく異質なものを嫌って排除する本能が備わっている
- 人間の脳は、『悪』認定したものを排除することに快感を覚える作りになっている
- 一度嫌われるとイメージの挽回が困難になる『確証バイアス』の存在
- 本能を刺激するコンテンツを作って儲ける営利企業態『メディア』の存在
- ネットやTVで一部の配達員のマナー違反報道を目にした人達が、配達員を過剰に『悪』認定する
- 存在感のあるUberEatsバッグが人間の差別感情を刺激し排他的行為を促す
これらの要素が絶妙に絡まり合ってシナジーをもたらしていることで『配達員が世間から嫌われている今日の状況』と成り果てていると、私は分析※しました。
そして、配達員が嫌われているのは
「人間の本能と経済合理性に基づいた世の中の動きとして、UberEats配達員が嫌われるのは当然の結果である」
であるとの結論に私は至ったわけです。
しかし、これだけの説明では大雑把すぎて私の意図が全く伝わっていませんよね?なので「なぜ私がこのような結論に至ったのか?」をこれから詳しく解説していきたいと思います。
原因①:実際に迷惑行為をする配達員が一定数いるという事実
「火の無い所に煙は立たぬ」とは良く言ったもので、実際に迷惑行為をする配達員がいるから、世間から嫌われるわけです。
『自転車配達員が高速道路を走ったニュース』『マンションの廊下に料理を投げ捨てた配達員のニュース』、皆さんも記憶に新しいのではないでしょうか?
しかし、一般の方がやっているような軽微な交通違反を含め、失礼な態度、モラル違反などをやってしまっている配達員が居るのは私の見る限り事実です。
私自身も「100%迷惑行為をしていない!」なんて言い切るつもりはありません。意図せず迷惑を掛けてしまったことも何度かあります。
原因②:UberEats社の無責任さ
2019年10月、UberEatsの配達員が料理をマンション内に投げ捨てたニュースが炎上し、話題になりました。
この配達員の行いに対して、UberEats社は責任を取らないとする態度を取ってしまったため、世間の批判を浴びてしまったのです。
ウーバーのサポートセンターに連絡を入れると、担当者は、「配達員は個人事業主だから、ウーバーは関与できない」「ご自身で警察に連絡してほしい」といった内容を説明したという。これに対し、石野さんは、配達員の名前や連絡先を聞いたが、教えられないと言われたそうだ。警察に通報するほどでもないと考え、「とりあえず片付けて」と依頼したが、これも断られたという。
出典:Uber Eats配達員が料理「投げ捨て放置」? ツイッター訴え、運営に対応聞く
果たして、UberEats社は無責任気質なのでしょうか?
このことを皆さんに考えていただくために、配達員の私が実際に目の当たりにしたことを書いていきますね。
とあるマンションの訴え
私が配達に伺った、とある建物内部には、住民にUberEats以外の宅配サービスを使うように訴えている張り紙がありました。
書いてあった内容をざっくり説明すると
- 配達員が建物を汚したからUberEats社に問い合わせたのに、返事が来ないよ
- 復旧費用の負担をUberEats社が応じない場合、注文者に請求が行くからよろしくね
- 復旧費用を請求されないためには、ちゃんとトラブルに対応してくれる他のデリバリーサービスを使ってね
という感じです。
早い話が「UberEats使うとロクなことにならないから使わないで」ということですね。
この張り紙を私が見たのは2021年5月。上記のニュースから約1年半ほど経過しています。
このことからも「UberEats社の姿勢は当時と変わっていないのでは?」と私は考えてしまいます。
原因③:人間には新しく異質なものを排除する本能がある
UberEatsは最近になって日本社会に認知されてきた新しい業態です。言い換えれば、これまでにない異質な存在ということ。
そして人間は、自分とは性質のことなる存在を嫌い、排除しようとする本能が備わっています。
たとえ
という人でも無意識レベルで、未知の存在(異質なもの)に対して排他的な振る舞いをしているはずなのです。(もちろん程度の大小はある)
なぜならこれは食欲や睡眠欲と同様、生存するためには不可欠な欲求だからです。
とはいえ、これだけの説明では納得いただけないと思いますので、これからこの人間の本能を理解するために、以下の5つの用語を元に解説していきます。
- ネオフォビア
- オキシトシンホルモン
- ドーパミン(報酬系)
- 向社会性
- 内集団バイアス
新たな出会い・環境を恐れる心理『ネオフォビア』
『ネオフォビア(英:Neophobia)』とは、新しいものに嫌悪や恐怖、不安を感じる心理のことです。
新しいものの例として
- 初対面の人物
- 食べたことのない食物
- 新しい職場・土地
などがあります。
皆さんも、初対面の人に話しかけるのには躊躇しますよね?
新しい職場に初めて出勤するのは緊張しますよね?
これも、ネオフォビアという心理が働いています。
そして、UberEats配達員の働き方は『ギグワーク』と呼ばれる新しいライフスタイルです。
つまり、世間の人々にあるネオフォビアという心理(配達員に対する嫌悪感)が働くことになるわけですね。
愛情と排他の2面性を持つ『オキシトシン』
オキシトシンは別名『愛情ホルモン』『幸せホルモン』と呼ばれています。
その名の通り、仲間との交流やリラックス状態のとき、つまり人間が「心地よい!幸せ!!」と感じるシチュエーションの時に分泌されるホルモンです。
オキシトシンが分泌されると
- 安心感・幸福感を覚える
- ストレス緩和
- 親密な信頼関係の構築
などの効果があると言われています。
ここだけ聞くと
となりますよね?
ですが、そうは問屋が卸しません!
実は、人間が異質なものに対して嫌悪感や敵対心を抱く原因はこの『オキシトシン』というホルモンにあるのです。
このオキシトシン、実は、大いなる闇の部分を抱えていてですね…。その闇の部分とは、異質なものを攻撃する『排他的行為』を促すという側面です。
なぜ、『排他的行為』を促すのか?
それは、オキシトシンにより仲間意識が高まった人間は自分の所属するコミュニティ、家族、子供など、愛する存在を外敵から守るために、外部の人間に対して攻撃的になってしまうという傾向があるからです。
「子連れの動物は警戒心が強く攻撃的だから近寄ってはいけない」と聞いたことはありませんか?この動物の攻撃性もオキシトシンの仕業なのですね。
他人を差別、排除する楽しさは報酬系(ドーパミン)の仕業
人間が快楽を感じる時、脳の報酬系という部分が活性化しています。
報酬系とは、欲求が満たされたときに活性化し、その個体に快の感覚を与える神経系のことである。欲求には、喉の乾き・食欲・体温調整といった生物学的で短期的なものから、他者に誉められること・愛されること・育児など、より高次で社会的・長期的なものまで含まれる。
(中略)
報酬系は中脳の腹側被蓋野から側坐核、大脳皮質前頭前野に投射するドーパミン神経系であることが同定された。実際、動物で側坐核における局所ドーパミン濃度を測定すると、コカイン投与や食事、交尾行動の際に濃度が上昇する。 すなわち、ドーパミンが放出されることで快中枢が刺激されているのである。また、報酬系が活性化するのは、必ずしも欲求が満たされたときだけではなく、報酬を得ることを期待して行動をしている時にも活性化することが分かってきた。
つまり『ドーパミン』が脳内に分泌されると、人間は気持ちよさを感じるということですね。
『いじめは楽しい』は生存本能からくる快楽
異質なものを差別・排除するときも、ドーパミンが分泌されることが判明しています。
いじめっ子は嬉々として特定の人間をいじめ、時に自殺するまで追い込みますが、あれは
異質なものを排除することにより快楽を得る
↓
排除行為が促進される
ように集団を平和維持するために進化した脳の仕業なのですね。
ネットでUberEats配達員叩きをしている時も、人間の脳はドーパミンを分泌しているのは間違いないと思われます。
向社会性の高まり、「仲間想い」感情が排他的行動を促進させる
『向社会性』とは
- 仲間を助けたい
- 人の役に立つことをしたい
という自発的な心の働き・行為のことを言います。
これだけ聞くと
と思いますよね。
しかし、ことはそう単純にはいきません。
この向社会性は、先ほど説明した『オキシトシン』の分泌が関係していると考えられています。
どういうことかというと
- 愛情ホルモン『オキシトシン』が分泌されて仲間意識が強まる
↓ - 向社会性が高まる
↓ - オキシトシンの作用で排他的行動につながる
このような理屈なんですね。
『オキシトシン』と『向社会性』の関係については、まだまだ未解明であるという声もあるようです。
近年,オキシトシンが信頼を促進するという結果が再現できないという研究結果も報告されている(Declerck et al., 2020)。(中略)向社会行動におけるオキシトシンの重要性には個人差があると考えられるため,今後の研究では個人差を視野にいれた研究が必要であると考える。
ですが、この記事では【『オキシトシン』は『向社会性』に影響を与える】という前提で話を進めていきます。
そう、向社会性の良い面が働くのは仲間内だけです。向社会性が高い人ほど、仲間と認定されない存在である『敵』に対しては筆舌に尽くしがたい非道な行いをします。(差別・排除・攻撃・殺戮など)
なぜ、非道な行いをするのか?
それは『敵』を排除、もしくは殺戮することは仲間を守ることに繋がる、つまり仲間の利益となるからです。
これは共同体を守り維持するために備わった人間の本能であり、仲間ではない異質な存在を排除することに快感を覚えるように人間の脳は出来上がっているのですね。
『向社会性』がUberEats配達員に与える影響
さて、これまで説明してきた『向社会性』のメカニズムをUberEats配達員のケースに置き換えてみましょう。
UberEats配達員は最近になって日本に登場したニューカマーです。多くの日本人にとって異質な存在であり『敵』のようなものです。(この心理は【新たな出会い・環境を恐れる心理『ネオフォビア』】で説明)
そんなUberEats配達員は『向社会性』の高い人たち、『敵』を排除・攻撃することに強い快楽を覚える人達にとって格好の餌食というわけなのですね。
人間の排他的行動を表す言葉には他に『黒い羊効果』があります。
身内を贔屓する『内集団バイアス』とは
『内集団バイアス』とは、「自分の所属している集団は他の集団より素晴らしい!」と思い込む傾向のことです。
こう思い込むことで帰属意識が高まり、一致団結することができます。宗教や国家による団結をイメージすると分かりやすいでしょう。
一人より複数人の方が戦力が増すので生存確率がグンッと上がります。とても理にかなった本能と言えますね。
私は何度か、UberEats配達員を見下した注文者に遭遇したことがあります。これも、新しく異質な存在であるUberEats配達員より「自分のほうが素晴らしい存在である」と思いたがる『内集団バイアス』が関係していると思われます。
原因④:人間の脳は『悪』を排除することに快楽を感じる
人間は「自分は正義である」と確信すると、『悪』認定した相手に制裁を加える行為『サンクション』を行います。
サンクション
社会的規範から逸脱した行為に対して加えられる心理的・物理的圧力をいう。社会的制裁ともいう。それは単なる嘲笑(ちょうしょう)といった程度のものから死に至るまでのものを含む。つまり、あらゆる社会集団は、その成立とともに自己の生を存続させるための微妙な仕組みや自律装置を備えている。
出典:コトバンク
そして、この『サンクション』を行う時、人間の脳にはドーパミンが分泌されています。(ドーパミンに関しては【他人を差別、排除する楽しさは報酬系(ドーパミン)の仕業】で解説済み)
つまり
という思考に陥ってしまった人は、快楽を求めてUberEats配達員叩きをし始める、といった理屈なのですね。
ちなみに異常なほどモラルを振りかざすモラルハラスメントも快楽を得ようとする行動の現れと言えるでしょう。
原因⑤:一度嫌われるとイメージの挽回は困難!?『確証バイアス』とは
最初に嫌悪感を抱かれてしまうと挽回するのは難しいと言われています。
なぜ撤回するのが難しいのか?
その答えは、人間が陥りやすい心理状態「確証バイアス」が関係しています。
確証バイアス
「確証バイアス」とは、認知バイアスの一種で、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識的に集めてしまい、反証する情報を無視したり集めようとしなかったりする傾向のことをいいます。最初に思い込みがあると、多様な情報があっても、最初の考えを支持するような情報ばかりが目に付いてしまうのが確証バイアス。ビジネス、SNS、医療、政治、科学、雇用など、実生活のさまざまなシーンで散見されます。
出典:確証バイアス
よく、面接は最初の数秒で決まると言われていますよね。これも確証バイアスが関わっています。
たとえば、応募者の第一印象が悪い場合、残りの面接時間は応募者の悪い部分ばかりを探してしまうという心理、これが分かりやすい確証バイアスの例です。
面接の第一印象と言えばメラビアンの法則が有名ですが、ここでは言及しません。
【人間には新しく異質なものを嫌う本能がある】でも説明しましたが、人間には新しい物事に対して嫌悪感や警戒心を持つ防衛本能が備わっています。
UberEatsなど、素人がフードデリバリー業務を行う「ギグワーク」と呼ばれる働き方は近年になって注目され出した、新しいライフスタイルです。
つまりUberEatsに対して
という印象や先入観があると、それ以降、
- 配達員に関する悪い情報ばかりに注目してしまう
↓ - 配達員に対する更なる嫌悪感へとつながってしまう
↓ - 配達員は『悪』であると確信する
という傾向になりがちなわけなのですね。
原因⑥:本能を刺激するコンテンツを作って儲ける営利企業態『メディア』の存在
人間が『敵』を作って排除・攻撃することに快感を覚えるということは【人間には新しく異質なものを嫌う本能がある】の項目で説明しました。
そして『敵』を作り出すのに加担しているのがTVや雑誌などメディアの存在です。
TVやネット記事などのメディアでは、芸能人の不倫などスキャンダルがよく取り上げられます。
なぜメディアは、多くの人にとって他人であるはずの芸能人の不倫問題をよく取り上げるのでしょうか?
その答えはシンプルに、視聴率やPVが稼げる=収益に繋がるからです。
そう、メディアは『たくさんの人に見てもらうことで広告収入を得て利益を生み出す』というビジネスモデルなんですね。
そして、たくさんの人に見てもらうには、人間の感情を揺さぶるのが効果的です。つまり『喜怒哀楽』に強く訴えかけるコンテンツを提供し、興味関心を引く必要があります。
TVでお馴染み、芸能人の不倫報道で言えば、
という感じで『怒』の感情に訴えかけるわけですね。
そして散々バッシングされた芸能人は
と申し訳なさそうに謝罪するわけです。
これを見た人は
という感じで、とても爽快な気持ちになるという構造になっています。
そして視聴者はこの爽快感、快楽を求めて何度も似たような著名人のスキャンダル報道を見てしまう※のですね。
※この『快楽を求めて、つい何度も繰り返してしまう』状態を【行動嗜癖(こうどうしへき)】と呼びます。これも立派な依存症です。
参考:行動嗜癖
あなたも、社長に諂(へつら)って出世した嫌な上司がしくじるのを、仲間と共に面白がるのは爽快ですよね?上り調子の芸能人やYoutuberがスキャンダルを暴かれ、涙ながらに謝罪している様を見ているのは快感ですよね?
この邪(よこしま)な快楽・感情・行動は『シャーデンフロイデ(独:Schadenfreude)』という人間の生存本能に則った心の働きによるものなんです。
人間は共同体を平和維持するために、一人だけオイシイ思いをする存在、つまり『魅力的な異性や富を多く抱えている存在』を「許さない!」と感じるように設計されています。そして、そのような他人を引き摺り下ろす行為に快感を覚えるような脳の機能になっているのです。
抜け駆けを許さない『シャーデンフロイデ』は社会の共同体を維持するための人間の本能であり、快楽というわけなんですね。
つまり、メディアは視聴者(読者)の人間心理『シャーデンフロイデ』を巧みに利用することにより【たくさんの人にコンテンツを見てもらう → 儲かる】という『儲けの方程式』を確立していると言えるでしょう。
原因⑦:メディアで配達員のマナー違反報道を目にした人達が配達員を『悪』認定する
さて、ではメディアが人間の『怒』の感情を焚き付け儲ける『儲けの方程式』を、UberEats配達員を題材としたコンテンツ作りに当てはめると、どうなるでしょうか?
こうなります↓
- 世間には『UberEats配達員(ギグワーカー)と呼ばれる新しく異質な存在』を排除したいという無意識な欲求がある
↓ - この欲求に応えるべく配達員のマナー違反の様子をクローズアップする報道、つまりヘイト報道をする
↓ - 世間のもやもやとした嫌悪感、くすぶっていた『怒』の感情が一気に湧き上がる
そして
という考えになり、さらに過激な考えに発展すると
といった具合に配達員を『悪』として明確に認定してしまいます。
つまり、最初からUberEats配達員に対して嫌悪感を抱いている人は、メディアのヘイト報道を過剰に信じ、UberEats配達員をフェアに評価できなくなる可能性が高いのですね。
この人間心理は【一度嫌われるとイメージの挽回は困難!?『確証バイアス』とは】で説明した通りです。
原因⑧:存在感のあるUberEatsバッグが人間の差別感情を刺激し排他的行為を促す
人間の排他的感情の心理は述べました。
排他的感情という言葉は『差別』という言葉に置き換えてもいいでしょう。
人間が『差別』対象ととするのは、自分たちとは違う属性を持っている人間です。
- 学歴
- 年齢
- 年収
- 出生地
- 国籍
- 肌の色
- 言語
- 文化
- 体格
- 性別
- 障害
- 能力
そして、文化や肌の色などの属性の違いによる差別や略奪が古今東西行われてきたのは、歴史が証明している否定のできない事実です。(植民地支配がその典型)
アンデルセンの童話『みにくいアヒルの子』でも、「1匹だけ見た目が違う」という属性の違いによる差別、排他的行動が行われていますよね。非常に分かりやすい社会風刺です。
で、ここで鍵となるのがUberEatsバッグ、通称ウバッグです。
見たことある人ならわかると思いますが、黒くてめちゃくちゃデカいです。威圧感が半端ではありません。
これが現代日本の『みにくいアヒルの子』です。
世間の持つヘイト感情と差別感情を刺激するのには十分な存在感ですね。
実際、配達員の私の感覚からしても路上に置いてあるUberEatsバッグの存在感は凄まじく、なんとなくイヤ〜な印象を受けますから…。(;^ω^)
このバッグが世間のUberEats配達員に対するイメージダウンに繋がっているのではないか、と私は思っています。
なので、たとえ誰も気にも止めない軽微なマナー違反でも、UberEats配達員がやっただけで印象がとてつもなく悪くなります。(この心理は【一度嫌われるとイメージの挽回は困難!?『確証バイアス』とは】で説明しました)
という感じですね。(´・ω・`)
あと、これは私が体験した差別の話なのですが、私の住んでいる近所には、私が自転車で通り過ぎた瞬間に
と小声で言ってくる謎の背広おじさんがいます。
面と向かって言ってくるのではなく、通り過ぎた瞬間に言い放つのを鑑みるに、おそらく彼は気が小さく、周囲から抑圧されて生きているのでしょう。
UberEats配達員は圧倒的な社会的マイノリティです。このおじさんのように、配達員というだけで自分より下の存在とみなして精神的に優位に立ち
このように自身の心の安定を図っている人は一定数いるのだろうと私は考えています。
まとめ
「なぜUberEats配達員は嫌われるのか?」その理由を大まかに8つの要素に分けて説明してきました。
- 実際に迷惑行為をする配達員が一定数いるという事実
- UberEats社の無責任さ
- 人間には新しく異質なものを嫌って排除する本能が備わっている
- 人間の脳は、『悪』認定したものを排除することに快感を覚える作りになっている
- 一度嫌われるとイメージの挽回が困難になる『確証バイアス』の存在
- 本能を刺激するコンテンツを作って儲ける営利企業態『メディア』の存在
- ネットやTVで一部の配達員のマナー違反報道を目にした人達が、配達員を過剰に『悪』認定する
- 存在感のあるUberEatsバッグが人間の差別感情を刺激し排他的行為を促す
私の見解としては
「人間の本能と経済合理性に基づいた世の中の動きとして、UberEats配達員が嫌われるのは当然の結果である」
という結論に至りました。
しかしこの先、UberEatsを始めとしたギグワーク的フードデリバリーが地方にも浸透してくれば、人々の嫌悪感も徐々に薄れていくことでしょう。
そしてその頃には、人々は新たなターゲットを見つけ、それを排除する快楽に溺れているはず。
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♢UberEats関連記事♢
参考サイト一覧
- Neophobia - ScienceDirect
- Uber Eats配達員が料理「投げ捨て放置」? ツイッター訴え、運営に対応聞く
- オキシトシンが向社会行動に果たす役割 高岸治人
- 行動嗜癖
- 異質な他者への思いやり ─寛容性と社会的排除の発達
- 「愛情ホルモン」オキシトシンのダークサイド
- 「出る杭は打つ!」。幸せホルモン「オキシトシン」にある、ネガティブ作用 /脳科学者・中野信子
- 先生が知っておきたい いじめと脳の関係~ヒトはいじめをやめられない?~
- 相互協調的自己観と内集団バイアス- 奈良大学リポジトリ
- 確証バイアス
- あなたの「足を引っ張る人」を脳科学でハックする【対談】中野信子さん×林要さん(第1回)
- 「排除の論理」を使う人たちとどう付き合うか
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